スズ・シアター・ミュージアムは、日本海を見下ろす大谷エリアの高台に位置しています。
かつての珠洲市立西部小学校の体育館(2016年閉校)を全面的に改修し、珠洲の文化の保存と活用の拠点として、2021年9月より新たな歩みを始めることになりました。 珠洲市内の家々に眠っていた生活用具の数々を一堂に集め、民俗・人類学的視点から展示紹介するとともに、気鋭のアーティストたちがそれぞれの視点から技能と創造力を駆使して、それらの生活用具に新たな命を吹き込み、土地の物語の表現へと結晶化させています。 各々の作品の中で解釈され、意味づけられることで、生活用具は以前とは異なる命を得ることになりました。
photo by:Keizo Kioku
会場内にはまるで海からあがった珠洲焼のように、民具がいくつかのエリアに展示してあります。点在する小屋には、複数のアーティストの視点で据えた、珠洲の歴史や風景、風土などをテーマとした作品が展開されています。アリーナにある砂浜は、氷河期の珠洲の砂が敷き詰められ、白化した貝殻の上には、波の映像がその風景を蘇らせます。民具にかすかに残る記憶の余光は、珠洲の物語へとつながり、海底の時間の渦に巻き込まれていくかのように会場を巡り歩くこととなります。
キュレーション・演出/南条嘉毅
総合ディレクター/北川フラム(アートディレクター)
キュレーション/南条嘉毅
参加アーティスト/大川友希、OBI、久野彩子、世界土協会、竹中美幸、南条嘉毅、橋本雅也、三宅砂織
音楽/阿部海太郎
特殊照明/鈴木泰人(OBI)
造形・演出サポート/カミイケタクヤ
映像記録/映像ワークショップ
民俗資料保存・活用アドバイザー/川邊咲子(国立歴史民俗博物館)
グラフィック・商品デザイン/KIGI
かつて生活に用いられた多くの道具類は、時代の移り変わりとともに忘れ去られ、蔵の中に仕舞われたままになっています。江戸時代から用いられた膳腕、衣食住、祭りや行事に関わる道具、農業や漁業、製塩など生業に関わる品々もあります。今回の大蔵ざらえで収集した生活用具は1,500点以上にのぼります。集められた生活用具は、一点一点、聞き取りで得られたデータと実測値を付与されて資料化されていきました。その一部は、スズ・シアター・ミュージアムにて紹介されています。
民俗文化アドバイザー/川村清志(国立歴史民俗博物館)