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作家視察レポート

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ソル・カレロ
〈ベネズエラ/ベルリン〉

視察日 | 2022年12月12、13日


主な視察場所: 飯田町、須須神社、寺家キリコ収蔵庫など

ソル・カレロさんは、ベネズエラ出身のアーティスト。

ベネズエラのカラカスで生まれ育ち、現在はベルリンでアーティストとして活動しています。

カレロさんの視察は、飯田町を皮切りにスタート。

蛸島エリア、寺家エリア、日置エリア、若山エリア、 宝立エリアをまわる、精力的なものとなりました。

最初に訪れた飯田地区で1番興味を持たれていたのは、旧布団屋に残されていた「布団」。

たまたま道を歩いていて目にしたらしいのですが、

「布団ってどこも同じようで国によっていろんな種類があるんです。

つくり方もぜんぜん違ったりして面白い。そんないろんな布団を集めるだけで、面白そうですよね。」いやはや。

アーティストさんの好奇心が向かう先の予想外さ、びっくりしてしまいます。

その後、蛸島エリアの高倉彦神社や山王の森をまわり、日本の神様の教えてもらいお参りをした後、

三崎エリアの須須神社への向かいました。

須須神社は能登半島の最北端に位置する奥能登の「守護神」とも呼ばれる神社。

第10代祟神天皇の時代(約2000年前)に創建された由緒ある神社です。

社の開かれたところはその昔より神域として守ら れてきたエリアで。

約10000坪とも言われる境内にはスダジイ(常緑広葉樹の高木)をはじめとする多様な植物が自生しており、

国の特別史跡名勝天然記念物にも指定されています。

奥社がある山伏山は、山の形状が美しいことから古くから崇拝を集めた場所であるだけでなく、

海上 航行の目標としても尊ばれてきた特別な山です。

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須須神社にて

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寺家キリコ収蔵庫にて

そんな須須神社を訪れたカレロさんにとって大きな驚きだったのは、自然豊かな場所に信仰の場が開かれ、

数千年にわたって静かに守られてきた日本の神様信仰のありかたの特殊性だったようです。

林の中に溶けむように建てられた境内の構造に興味をもっただけでなく、鳥居などの素材を詳しくチェックしながら、

ひとつひとつの建造物が自然との調和の中にあることに深く感銘を受けたご様子でした。

「大阪や京都にも旅したこと があります。でも、この珠洲にあるものは特別です。この地を訪れられたことを幸運にすら感じます。

珠洲での作品制作は、自然・文化・場所との調和を前提に考えたい。そして、地元の方の協力を仰ぎながら共に作りあげていきたい。」

須須神社の体験は、カレロさんに大きなインパクトと特別な決意を残したようです。

視察はそこからさらに日置~若山~宝立エリアと続き、作品制作の場が熱心に検討されていきました。

でも、須須神社の体験で得たカレロさんの決意がどこを作品制作の場として選ばせたのか、

それは、この先のお楽しみということにさせてください。

きっとカレロさんなりの解釈で、珠洲の自然や文化との調和が夢想されたに違いないですから。