来年の芸術祭にむけて、
みんなで芝生の屋外劇場を作りました。
珠洲市の正院町飯塚にある2000平方メートルのスズズカグラウンドに敷き詰めるために用意された芝はなんと2万枚。機械なんてありません。全部、人の手で1枚1枚張っていく作業です。2日間で集まってくださったのは延べ94名。地元の飯塚・岡田地区より多くのみなさんが集まってくださいました。さらに珠洲市内、県内外から駆けつけてくださった方々も。はじめは芝生の量に圧倒されていましたが、いざ作業が始まるとみるみるうちに地面が埋まっていきます。みなさんのご協力のおかげで、初日で全体の3/4が終了。2日目には、なんとゲストダンサーのアオイヤマダさんも一緒に作業してくださり、予定よりもかなり早い時間にすべてを張り終えました。ご協力くださったみなさん、ありがとうございました。来年、この芝生をステージに繰り広げられる公演が今からとてもとても楽しみです。
来年の夏頃には、前回同様「Come and Go」のパフォーマーオーディションを開催する予定です。こちらもみなさんのご参加お待ちしております。
ひびのこづえ × アオイヤマダ × 小野龍一
今回スズズカで上演された「ROOT:根」は、そごう美術館で2021年に開催された展覧会『森に棲む服/forest closet ひびのこづえ展』で初めて上演され、これまで東京芸術劇場、熊本市現代美術館、美濃歌舞伎博物館など日本各地を周り、2022年最後の公演が、このさいはての地・珠洲で行われました。
「ROOT:根」は森に住む巨大なカエルが次から次へと脱皮を繰り返し、やがて人間となり、森に、そして土に還っていくパフォーマンスとなっています。
上演前にはひびのこづえさんから「私は子どもから赤ちゃん連れの大人までが世代を超えて楽しめるパフォーマンスをつくり、気軽に集る場所づくりを目指しています。なので、赤ちゃんの鳴き声や子どもが発する声も音楽の一部と考えています。」と挨拶がありました。ひびのこづえさんが手がける、色鮮やかで幻想的なコスチュームと、神秘的な緊張感を生み出す小野龍一さんの音楽、そしてアオイヤマダさんの圧倒的な表現力に、ステージを囲む老若男女のお客さまがじーっと意識を中央に集めて鑑賞していました。巨大ガエルの迫力に思わず声をあげるお子さんも。
上演終了後は、ひびのこづえさんのグッズや珠洲オリジナルミニタオルなどが並ぶ[スズズカLIMITED SHOP]に行列ができ、入場制限するなど、大盛況に終わりました。
× アオイヤマダ
2日目の朝9時からはじまったアオイヤマダさんのダンスワークショップ。芝生プロジェクトが始まるまでの1時間、スズズカ会場内に老若男女のみなさんが集まって一緒に身体を動かしました。
気持ちよく身体を伸ばしたり、床に寝転がって自分の呼吸を感じながらゆっくりと身体を動かしていき、身体が温まったところで、珠洲の有名なものになりきるワークショップがスタート。曲に合わせて、わかめになりきってゆらゆらしたり、能登牛になりきったりするなど、自分の思うままに身体を動かし表現していきます。
後半は「ROOT:根」の演目中に登場する"しょうがないダンス"をアオイヤマダさんから教わりました。「大人になって、しょうがないという言葉を使うことが増えたけれど、しょうがないって不思議な言葉ですよね。全てを救う言葉でもあるし、全てを破棄する言葉でもある。」と話すアオイヤマダさん。そんな想いを詩に書いて小野龍一さん(音楽家)に送ったら、この"しょうがないの歌"になってかえってきたんだそうです。