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ディレクター便り vol.3

文:北川フラム(総合ディレクター)
2023年6月6日更新

9月23日からの51日間、珠洲市内を舞台に『奥能登国際芸術祭2023』が開幕します。それにあわせて、「ディレクター便り」の連載がスタート。総合ディレクター・北川フラムが「珠洲のいま」について綴ります。

地震後一ヶ月、事業者被害が34億円強。災害ボランティア募集が県内全域に呼びかけられました。珠洲は秋にキリコ・燈籠山が繰り出される秋祭りが7月から10月にかけて、特に9月からはほぼ毎日、市内のどこかの町内で催されますが、最大の祭のひとつ飯田燈籠山祭りの巡行も出来ることになり、7月20、21日に開催が決定されました。復旧、復興への動きが加速されると共に、変わらない日常への努力も始まっています。

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作品制作についても、イラン出身のシリン・アベディニラッドさんが来られて、第一作目が完成しました。漁網倉庫に森の中、水の中のような不思議な空間が出来ました。地元の方々もサポーターとして協力してくださり、好調なスタートです。

以下、現地の芸術祭スタッフによる作品制作記録です。

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シリンさんとサポーターさん2人で一緒に作品制作。奥能登クリーン組合、珠洲環境サービス、わかやま酒店でもらってきた珠洲の酒一升瓶を砕いた欠片を、天井中央から広がっている漁網にひとつずつつけていく作業。漁網とガラスをテグスでつなげるため、ガラスにドリルドライバーで穴を開けるのが結構大変そう。試行錯誤した日。

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漁網にガラスをひとつひとつつけていく、作家のシリンさん

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ドリルドライバーでガラスに穴を開ける

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シリンさんと、急遽手伝ってくれることになった宝立の地元の方4人と、今日で2回目インターンシップの飯田高校生4人と、東京からきてくれているサポーターさんと制作。ドリルドライバーでガラスに穴を開けるのが大変だったので、ガラスにテグスを巻き付ける作戦に変更。蔵の外にテーブルを出して、太陽を浴びながらの作業。地元の方も楽しみながら手伝ってくださっているご様子で、ほっこりした良い雰囲気でした。漁網を整理するシーンでは飯田高校生が大活躍。力持ちな彼らにとても助けられました。蔵の中ではシリンさんが黙々と、漁網にガラスを取り付ける作業。ガラスの量が多くなってきて、光を取り込んで反射する様がとても綺麗でした。完成が楽しみです。

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一緒に作業をしてくれた宝立地区のみなさん

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大きな漁網をまとめる飯田高校生

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作品が完成。作品の要素となるもの(漁網・ガラスの欠片)本体だけでなく、それらが映し出す影や色の美しさを表現したいと考えていたシリンさん。作業していた荷物がなくなると、光を受けたガラスの影が地面の砂に映ってとても綺麗。海の底にいるような気持ちになりました。

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完成した作品

今回の作品制作は、地元の方、サポーターの方の協力あって無事に完成することができました。隣の畑の方からキャベツやカブをいただいたり、直接作品に関わってくれた人だけでなく、作家や作品を受け入れてくれた全てのみなさんに感謝したいです。

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完成した作品を鑑賞する、北川フラムディレクター

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作品について説明するシリンさん



アーティストたちも 6月10日の企画発表会に向けて、ビデオレターの準備もしているそうです。ポスター、パンフレット、ガイドブック等も地震を受けて作り直しに入りました。
 
地震に負けない珠洲、元気なスズに!
豊穣の里山、里海にアートと食 14の国・地域からアーティストが集結  


北川フラム