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ディレクター便り vol.12

文:北川フラム(総合ディレクター)
2023年8月15日更新

9月23日からの51日間、珠洲市内を舞台に『奥能登国際芸術祭2023』が開幕します。それにあわせて、「ディレクター便り」の連載がスタート。総合ディレクター・北川フラムが「珠洲のいま」について綴ります。

地震とその復旧のニュースが少なくなってきました。ただ海底地盤の下に流体(水)があって、これが動いているのではないか、との報告があって金沢大学の研究グループが調査をしているとのこと。地震の原因も地球科学の急速な進展とともに少しずつ解明されていくようです。

今回の報告はひびのこづえさんのオーディション・ワークショップです。ひびのさんは今回、3つのプログラムを行います。

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8月1日〜7日に行われた「Come and Go」のワークショップオーディションの様子

「Come and Go」「FLY,FLY,FLY」「MAMMOTH」 何回かずつやっていただければよいのですが、全部で7公演になってしまいました。皆さんできるだけ機会をみつけて参加して下さい。 ひびのさんの衣装・ダンスを見るのはいつも楽しみです。参加している人たちが楽しそうだし、こちらもスカッとして気持ちが良い。ひびのさんは潜りが大好きで、時間があれば海に行っている。珠洲を選んでくれたのも海が近いせいかも知れません。ダンス・音楽もピタッと丁寧に合っている。おすすめです。 

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ワークショップの参加メンバーで木ノ浦の海に潜って海の世界を観察

オーディションに集まってくださった皆で海に入ったと聞き、その写真を送ってもらって羨ましくなりました。公演の衣装も全体の動きも海の透明感ある流れです。息がきれて水面に昇っていく時の、あの水面の輝きは私たちが体感する特上のものだと思います。

潮騒レストランもKIGIさんのデザインがいろいろ出来てきました。楽しみです。

この先は、前回お送りした常盤貴子さん、阿部海太郎さんのトークの続きをお送りします。 

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金沢プレイベントトークショーの様子(左)阿部海太郎さん、(中央)常盤貴子さん、(右)泉谷市長(実行委員長)

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<珠洲の芸術祭が惹きつける理由について>

阿部さん:でもやっぱり珠洲が魅力的なところで、人を惹きつけてるところが一番基本なんだろうなって思いますよね。

市長:もしかしたら珠洲にでっかい磁石がどっかにあって、こう引き付けるんでしょうかね?

常盤さん:本当に色々なところで芸術祭は行われています。私は仕事で日本全国いろいろなところに行くんですけど、珠洲は本当に特別な場所なんですね。で、その特別だなと思っている場所に、アート作品が点在しているその景色を見て、本当によくぞ珠洲を選んでくださったなって思いました。日本全国の中でも珠洲にしかできない展示になっていると思います。それには珠洲の光っていうのも私には大きいような気がしていて、それは越後だったり瀬戸内ともまた違う光なんですよね。珠洲でしかみれない展示が見えてくるので、ぜひ体験していただきたいです。

阿部さん:また基本的なことかもしれないけど、参加されてる作家のみなさんが素晴らしいなあっていうのをすごく感じますね。僕は前回から参加させてもらって、前回の芸術祭でスズ・シアター・ミュージアムができる時や去年の朗読劇「珠洲の夜の夢」の時もそうなんですけど、地元の方たちと作っていく過程がやっぱりとっても楽しいし、皆さんなんかいい人なんですよね。皆さんのセンスがいいというか。ほかの作家たちがどういう印象を持っているか分からないけど、みんな本当にその人たちに感謝してると思うんですよね。

市長:それは半島の先端だからですかね。色んな文化とか情報が集まってきたと思いますし。ずっと幾層にも積み重ねられてきたんじゃないかなと思うんですよ。それでやっぱり半島の先端だからこそ好奇心が旺盛だったり、新しいものや面白いものにとても興味を示したりするところがあるんじゃないかしらと思うんですけどね。あとアーティストの皆さんにお聞きすると、珠洲は非常に潜在力が高い。いろんな魅力があるのでアートに表現しやすいということもおっしゃります。でも潜在力っていうのもいいのかどうかですね。それを具現化してこそ初めていろんな効果を得られるような気がするんですけど、でも、そういう魅力があるというふうに言われます。常盤貴子さん、改めて珠洲の魅力はどうですか?人にも魅力があるのかしら。 

常盤さん:もちろんです。珠洲に行くたびに笑顔を取り戻して帰れるというか、はい、本当に気持ちがいい場所ですもんね。 

阿部さん:「あいの風」と呼ばれる風。立ってるだけで、あそこにいるだけで気持ち良いっていうのがありますよね。だからさっき常盤さんがスズ・シアター・ミュージアムで最初にミュージアム入って感じたとおっしゃっていた感覚も、その道中があって、で、あの大谷の坂をちょっと登ったところに海が見渡せる場所があって、そのプロセスも作品のひとつになってるんですよね。だからもう、ただ作家が作ったものをポンとおくっていうこととは、やっぱり全然意味が違っていて、作品と珠洲の風土と、人が一緒になって作られてるって、本当に思います。 

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地震に負けない珠洲、元気なスズに!
豊穣の里山、里海にアートと食 14の国・地域からアーティストが集結  


北川フラム