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ディレクター便り vol.1

文:北川フラム(総合ディレクター)
2023年5月24日更新

9月23日からの51日間、珠洲市内を舞台に『奥能登国際芸術祭2023』が開幕します。それにあわせて、「ディレクター便り」の連載がスタート。総合ディレクター・北川フラムが「珠洲のいま」について綴ります。

珠洲・奥能登国際芸術祭ファンの皆さんへ

5月5日に発生した震度6強の被害を受け、5月21日の奥能登国際芸術祭の企画発表会を中止し、 芸術祭実行委員会総会が急遽開催され、芸術祭の開催日程を9月23日から11月12日までと決定しました。地震による被害状況は以下の通りです。

***
<被災建築物対応緊急危険度判定調査結果>*5月17日時点
調査: 2,717件

調査済み 1,667件
黄:要注意 689件
赤:危険 361件

<被害家屋報告(速報値)>*5月22日時点
▼住家
全壊:21
半壊:79
一部壊損:674

▼非住家(空家、納屋、土蔵、車庫など) 
全壊+半壊:62

5月20日には、避難者が0人になりました。

(以下、5月23日北國新聞より)
奥能登3市町(珠洲市、輪島市、能登町)の土木・農林水産施設の被害額(19日時点)が概算で約77億円に上ることが県のまとめでわかった。路面亀裂などの土木関連が約57億円、山腹崩壊や漁港の路面沈下を含む農林水産が約20億円だった。

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液状化の影響で公開中止となっている作品『石の卓球台第3号』(浅葉克己)

私の考えは、まず住民・施設の復旧に全力で対応する。そのための支援活動に関わる。 
芸術祭開始を優先しない。芸術祭に関わる地元工務店、業者に余分な負担をかけない。
その上で、作品設置予定の半壊、全壊の場所の代替を探す。施設(アートサイト)の補修を行い、あるものをできるだけ活かす。参加作品は予定通りに進めるが、やむを得ない場合は作家に不参加をお願いする。作家の来日、来圏は以上を受けて予定を立てていただく。
以上を含め、まずは珠洲市の復興と、その上で芸術祭延期続行の決定に応え、この災害を超えて今一歩地域再生に伴走できるべく、芸術祭の質の向上と来圏者に楽しんでもらえるようにする。そのため、復旧状況の報告と芸術祭の広報をこのホームページで随時行う。

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現在市内の家屋には赤紙、黄紙、緑紙が貼られ、ボランティア活動が行なわれています。泉谷実行委員長(市長)の発言を受け、災害復旧を最優先とし、経済的負担をかけないように努力し、その上で芸術祭開催の経済効果が地元に還元できるよう動くつもりです。そのために今週からディレクター便り、芸術祭報告を行います。皆さんの応援を、皆さんの協働を! 


北川フラム