最涯珠洲を語る

#06 第41代 珠洲ローターアクトクラブ会長 納谷 春佳

#06 第41代 珠洲ローターアクトクラブ会長 納谷 春佳

2017.08.14

納谷 春佳 / Haruka Naya

納谷 春佳 / Haruka Naya 第41代 珠洲ローターアクトクラブ会長

納谷 春佳 / Haruka Naya 第41代 珠洲ローターアクトクラブ会長
1990年珠洲市出身。金沢大学卒業後、珠洲にUターンし、現在は3つの仕事に就く「多就業スタイル」で働く。2016〜2017年度珠洲ローターアクトクラブの会長を務め、地元の若者と地域活動にも取り組む。「能登里山里海マイスター」修了生。夢は、珠洲でおばあちゃんになるまで楽しく生きること。

若者がいない珠洲での、若者一人の価値。
仕事も暮らしも楽しみながら
地域にいい影響を与えられるように
成長していきたいと思う。

高校生の頃は超退屈だった町が、
大人になって戻ってきたら最高に楽しい町に変わった。

高校生の頃までは、珠洲のことが好きじゃなくて。何もない珠洲が。友達の家に遊びに行くにも、町が違うと自転車で40分以上かかったりするので、そんな簡単に行けないわけで、ってなると、クルマがいる。ってなると、親がいないとどこにも行けない。だから面白くなかった。もちろん、海とか山とかは好きなんですよ。大学行って戻って来てからは、クルマ持ってる、働いてるから自由になるお金もある、マイスターの人とか知り合いも増える、門限もない、ってなったら、こんなに面白かったんだなっていうぐらい面白くて。道歩いてるだけですれ違う知り合いからバーベキューに誘われて、その場で行きまーす、みたいな。そんな毎日なんです。

海山の恵みを、季節ごとの収穫を、
分けあうことの贅沢さ

金沢とか都会は、お金を払えばどんなものでも手に入ります。反面、お金がないと何もできない場所でもあります。珠洲では、春に山に入るとワラビやタケノコがたくさん採れたっていただく、ソラマメのシーズンにはソラマメできたよーっていただく。浜行ったらカジメやモズクがたくさん採れたよーっていただく。カニですら、いただく。常に旬のものをふんだんにいただく循環ができあがってる。最近は多数イノシシが入ってきていて、その猟も行われるんですけど、そうした肉もお金じゃなく、お酒を持ってっていただきに行ったりする。礼を尽くす物々交換。イノシシの解体もやろうと思えば教えてくれる。畑やりたいと思えば、誰かに借りられる。サザエとか自分で採りたかったら漁業権とか買って海に入ることもできる。経済的自由度はとても高い。見方によっては、とっても大人な贅沢を毎日してると言える。やりたいと思ったら、採りたいと思ったら、食べたいと思ったら、ただで採りに行ける喜び。

地元の猟師さんを講師にイノシシの解体を勉強。
いつ食べれるかとそわそわしながら待っていたクサイチゴ! 仕事の休憩時間のおやつになりました。

都会の働き方がいい仕事の基準になってる。
地方には地方の働き方があっていい。

お金の意味って考えた時に。無駄に稼ぎたいとは全然思わないですよね。私、月・火・木は大野製炭工場、水・金は金沢大学能登学舎、週末は木ノ浦ビレッジっていう具合に複数の仕事を持っているんですが、別にたくさん稼ぎたくていろいろ掛け持ちしているわけじゃないんです。その働き方が幸せだと思って選択しているんです。金沢だと学生がいるから学生バイトでまかなっている部分があって、珠洲にも週末だけ人が欲しいなぁとか季節労働で人が欲しいなぁとか需要はあるけど人がいない。それってとても残念なことですよねぇ。私はそのニーズとマッチする仕事の仕方で地域経済を回す一助にもなればと思っているから、それをフリーターって言われ方したくない。だからそれを多就業スタイルって名乗ってます。そういう働き方の試みは他県でもされているんですけど、それを仕組みにしていくと派遣みたいなものになってしまって、それもまた違うんですよね。人材をシェアする。そういう考え方でもっとできたらいいって言ってます。もともと珠洲は多就業の土地柄で、夏は塩田で働きながら冬は杜氏するなんてことが普通に行われてきたんですよね。その意味では、今に始まったことじゃないんですよね。

私もチェーンソーで木を切り、大きな運搬車を操作して木を運び出しています。

若者一人が地域に与える影響を考える

急な人口のV字回復はないという話はもちろんそのとおりだと思うんですけども、寂しいじゃないですか。ダメだな珠洲は、って悲観的になるんじゃなくて、交流人口が増えたり珠洲を心のふるさとに思ってもらえるような工夫を何かやろうよ、という思いはすごいありますね。青年リーダー100人会議というのをやっていて、珠洲市青年団協議会、(一社)珠洲青年会議所、珠洲ローターアクトクラブ、能登里山里海マイスターネットワークという市内の4つの団体が一緒になって、そんなことや珠洲の未来のことを話し合っています。
金沢の若者一人と珠洲の若者一人って、地域の価値が違うんですよ。だって、珠洲にはいないから、若者が。一人の若者に対しての役割とか責任は大きいし、期待されることも多いですし。プレッシャーでもありますけど、逆に言えば、その若者が成長したりすごい能力があったりすると、それだけ地域に影響を与えることができるわけですよね。だから個人個人が成長していかないといけないと思うんです。
改めて珠洲を学ぶために、 金沢の方も招いてみんなで塩田体験。
まずは、珠洲をいいねと言ってくれる人が知りやすい、訪れやすいようにしたいですね。ローターアクトクラブの仲間と話し合って、人を呼ぶための企画からもてなしまでちゃんとやって、全国にあるローターアクトクラブのみなさんに珠洲に来てもらえるようにしたいです。そのきっかけに、これから始まる芸術祭も活用していけたらいいですね。面白そうなことには首を突っ込んでいきたいですし(笑)。ヨバレ体験やイノシシを捌くなど、珠洲ならではの体験もしてもらえたらと思います。それらを通して私たちもお金ではない対価を得られたら嬉しいですね。

芸術祭を活用する

芸術祭に何を期待するか。って聞かれたら、期待はするけど、期待しすぎないって思います。芸術祭がつくってくれる新しい人の流れができるなら、自分たちはそれをどう太くできるのかを考えなきゃいけないと思うし、そこを頑張りたい。故郷みたいに感じてくれるように頑張るのか。また来たいって言ってくれるように頑張るのか。せっかくやるなら面白くしたい。それは自分が活動しているいろんな枠組みを通じて、頑張りたいところですね。

珠洲がこの先100年大切にすべきことがあるとすると、それは何ですか?
珠洲のじいちゃんばあちゃんたちの働き方というか、生き方、ですかね。雨が降ったら家の中でできる仕事をして、晴れたら外に行く。山に行こうかな、とか、海が凪いでいるなら漁でもしようかな、というように、季節や天候に合わせてずっと働いている。体が動くうちはずっと働き続ける。それが苦でもなくて呼吸と同じでずっと繰り返されてきている。仕事じゃないんです、生活なんですよね。これってすごいなぁと思うんです。
今も山で作業をするばあちゃん。山菜が採れる場所や処理の仕方を教えてもらうことも。
珠洲のおすすめスポットを教えてください。
椿展望台から眺める景色です。快晴の時は青い海がさーっと見えて、仕事帰りには坂を上りきったところにバーッと広がって見える海に夕日が映えて最高にきれいです。自分の家の前から見える海と夕日が、本当は一番好きなんですけど(笑)。超きれいですよ、自慢の風景です。
正院地区の飯塚保育所あたりもいい風景ですね。まわりには田んぼだけが広がっていて、田植えが終わったばかりの時は水田にパーっと青い空が映ったり、天気がいい日は目の前に立山が見えて、きれいなんです。
珠洲はどこも季節ごとに違う表情があってきれいで、ふとした時に、うわぁめっちゃ贅沢なところに住んでるなぁと思います。
久しぶりの大雪で白く染まった地元、高屋。木の1本1本までもが美しい。
おすすめスポット: 椿展望台
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